人とアートと建築03

15年以上前から、、、できた当時から、、、
行きたかった博物館です。

三重県鳥羽にある「海の博物館」。

建築家の内藤廣の作品です。

sea-folk-museum01.jpg

なかなか行く機会がなく、
先の関西出張の途中に寄りました。

なぜ行きたかったか?

理由は2つ。

1つは、
この博物館建築は、絶対的な美を求めて設計されました。

しかし、
それがある方向で、ある限界点を超えると
昇華され、人とアートをも巻き込み、違った展開をみせる。

この博物館はそんな状況をつくり出しているのではないか?
それを体験してみたかったのです。


もう1つの理由は、
この建築のモノとしての完成度を見てみたかった。。。


この博物館が完成し開館したのは、バブル景気崩壊後でしたが、
計画立案・設計の時期は、ちょうどバブル景気の最中。

その頃の建築家は公共建築、とくに地方の公共建築などには見向きもぜず、
東京などの大都市で、溢れる予算を使い民間の建築を設計していました。

ポストモダニズムと称し、
時代の最先端の建築だと言いながら皆やってました。

しかし、
バブルが弾けたとたんに、
今では多少の振り返りはありますが、
ポストモダニズムの建築=悪みたいな風潮に変わりました。

一部の建築家が好き勝手にやり過ぎたのでしょう。
今でも残骸を時々見かけますが、、、

もちろん、その時代、建築家だけでなく、
全ての人が浮かれていましたから、、、何でもアリでした。


この博物館は、もともと予算があまり無かったようです。

バブルの最中です。
建築家のモチベーションは上がりますか?

今なら、上がります!
でも、その当時は難しかったのでは。。。


なのに、
建築家は粛々とできることの限界を見極めながら、
建築のモノとしての作品に昇華していった。

その結果、
バブル崩壊後に、賞賛を受けました。

今では、その姿勢がスタンダードに。

だから、
この建築のモノとしての完成度を見てみたかった。。。

sea-folk-museum02.jpg

木の架構。

使っている材料は、
決して高いものではありません。

納まりを工夫して、デザインして見せている。

その工夫は、他にも随所に見れます。

sea-folk-museum03.jpg

コストコントロールの賜物だと思います。

余分なものを無くし、
構造そのものをデザインして見せる。

ちなみに、

この木構造を住宅に応用したものがSE構法です。

sea-folk-museum04.jpg

プレキャストコンクリート版の架構。

コンクリート版を工場で製作し、
コストと精度とデザインの両立を計り、

木の架構同様、
余分なものを無くし、
構造そのものをデザインして見せる。


感銘を受けました。

建築家の誠実さと言いますか、志の高さに。


すばらしいと思うと同時に、
自分が普段考えている方向性に間違いはない、、、
志も技量も、、、と確認できました。


そして、

何よりいいのが、
ここを訪れた人が

「ね、ここいいでしょ。
前に来た時よかったから、一度連れて来たかったの!」

と家族に言っていたこと。

やはり、
建築はモノとしての絶対的な美を求めつつ、

最終的には、
そこを訪れる人やそこに置かれているアートなり何かを巻き込んで
どんな想い、衝動、感情をいだかせるか、が大事だと思います。

それは、どんな建築でも、住宅でも。


そして、

一番身近で大切な人とその想いを一緒に味わえる。。。


そんな建築を、住宅をつくり出さなくては、、、。

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