振れて振れて

「動いて流されてぶつかって・・・

 だから感じることができる」


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先日、あるお寺の住職さんと禅問答をしました。

禅問答は
雲水(見習いのお坊さん)に対して行うもので
秘儀とされ
本もあったり、一般の人に対して行ったりもしますが、
それは本当の禅問答ではないらしいです。


今回、
その住職さんが
秘儀に近いかたちで
あえてわかりやすく行っていただきました。


その時に
昨日のブログの五重塔の心柱の話がでてきました。


「あなたの心の柱は何ですか?」


お題です。


しばし考えてみてください。


私は・・・


「情」


と答えました。


お題をいただいてすぐに
頭の中に「情」の文字が浮かびました。

愛情
人情
友情

の「情」です。

元に戻れますか

「それがどうした?」
「その程度で・・・」


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大きなお寺に行くと、
よく五重塔や三重塔を見かけます。


中には千年以上も前に創建されたものも。
その間、台風や地震などの自然災害にも耐えて。


建築の構造の話を少ししますと、

五重塔や三重塔の真ん中には

心柱という太い柱が

大体、根元から頂部近くまで通っています。


そして、

その心柱は固定されていません。

周りの屋根の部分とも繋がっていません。

心柱だけが

ゆらゆら揺れるようになっています。

刺さっているだけ。

普通ちょっと考えると・・・

台風や地震に耐えるためにも
しっかりと根元も地面に固定されていて、
他の部分もしっかり繋がっていて、
何があっても動かないぞ!
とばかりに頑丈にできてないと・・・

と思いますよね。

それではじめて台風や地震に耐えられると。


逆なんです。

台風による強風、

地震による強い揺れ、

と一緒になって心柱も揺れる。


一緒になって揺れることにより

台風や地震による揺れを吸収し、

周りの屋根の部分には伝わらないようにしているのです。


もちろん、

周りの屋根の部分は
その部分だけで揺れますが、
心柱とは切り離されているので、

強風の揺れは心柱には伝わらずにおさまり
建物全体に影響はあまり与えず、

地震の揺れは心柱があるおかげで
地面から直接伝わりません。


そして、

揺れた心柱、

揺れた屋根は

揺れがおさまると

また元の位置にもどります。


現代でいうと、制震構造です。


もっとわかりやすくいうと、

大きな木を想像してみてください。


太い幹があって

その周りに枝葉がある。


その太い幹と周りの枝葉が切り離されているイメージです。


どんなに揺れても

太い幹が折れることはありません。


強風で折れるのは
太い幹と枝葉が繋がっていて、
少しも揺れないぞ!と
頑張っているから
限界を越えた時にポッキと折れるのです。


どんなに揺れても

一緒になって揺れていたら

揺れの力が分散されます。


そして、

また元の位置に戻る。


どんなに揺れても
また戻るべき位置にきちんと戻る。


その位置が

家の存在であったら・・・


外で何があっても

帰るべき

安心できる場所がある。


私の

家に対する

理想のイメージのひとつです。

響きますように

「水鏡に映るその姿が・・・」


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桜の季節ももう終わり。


でも、この桜吹雪舞う時期が結構好きです。


水際にある桜の木。

水面に映る桜の花。

舞う桜の花びら。

水面一面が桜色。


好きなシーン。

私の春のイメージです。


桜を見上げないで

水面に映る桜ばかり見てしまいます。


なぜか
そのものを見るより
他に映る姿の方が好きになります。


鏡に映る姿だったり。


その感覚は
もしかしたら日本人独特の感性かも。


日本庭園の借景や

わざと池に月を映してみたり。

床の間の一輪挿し。


自然の美を感じさせるのに

何かひと手間入れた方が

その美の本質があぶり出されるかのように。

あるいは

もうひとつ、美に意味を加えるように。


水面の桜の花びらの流れに

郷愁やはかなさ

を感じるように。


それを演出というのかもしれませんが、


人のこころに響く

には必要かもしれません。

妄想してますか

「・・・」


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「独坐大雄峰」

「どくざだいゆうほう」と読みます。


仕事柄、自分の居場所についてよく考えます。


よくボーッとしながら。


静かで外の喧噪がうそのような
緑豊かで
爽やかな風が吹き抜け
ゆるやかな光が頭上から落ちてくるような。


暖かくやわらかな陽射し下、
海を見ながら、それも横になりながら・・・


遠くの山をぼんやり
見晴らしのいい
晴天の下
草木や花の匂いがしてきて
雲がゆっくりすぎていく


妄想してます。


たぶん、
その時は呼吸も穏やかで
落ち着いて
リラックスしている時だと思います。


先の「独坐大雄峰」は禅語です。

ただ坐り、深くお腹で呼吸する。

何回か呼吸しているうちに

気持ちも落ち着いてくる。


その心が落ち着く立ち位置が

安心していられる居場所「大雄峰」

という意味です。


実は

妄想していられるその居場所が「大雄峰」


自分の居場所とは、

現実の目に見える世界の場所とは限らない。


だから、

私はいつもクライアントに質問します。

「あなたの大雄峰は?」