光はどこまでも深く差し込む

真上から光が差し込んでキラキラと波打つ水面に辿り着くまで、階段を何段も降りていく。それはストリートレベルから地下鉄の入り口のような階段を降りて行った一番深いところに緑色の水面がある。

インドの階段井戸の話である。井戸の水面は地中の深いところにあるが、その水面まで地上から真っ直ぐの階段で降りていけるようになっている。地中の深いところにあるから水面の辺りは暗いと思っていたが、水面の真上は真っ直ぐ地上までつながっていて、トップライトのように光が井戸の側壁に反射しながら降り注いでいて結構明るい。

ちなみに、トップライトとは天井に開いている明かり取りの窓のことだが、壁に開いている窓と比べて3倍の光量がある。だから、同じ大きさの窓ならば、壁よりも天井にあった方が空間を3倍明るくする。

「昼間に電気をつけないで生活がしたい」

それがクライアントの奥さんの要望だった。しかも、家族が集まり、奥さんが1日のうちで1番居る場所であるキッチン、ダイニング、リビングは1階にしたいという要望もあった。

その敷地は周りを建物に囲まれていて、狭くはないが、太陽の光が1階に差し込む時間帯はわずかであった。昼間はずっと電気をつけなくてもよい明るさが求められていたが、仮に吹抜けを設けて、2階の天井にトップライトを設置し、1階まで光が差し込むようにしたくても、そうすると、2階に必要な部屋が必要な大きさで取れない。

吹抜けをつくらずに、それでも1階まで光を落としてこなくてはいけない、床が邪魔をする、ならば、光を通す床にすれば良い。

1階のダイニングテーブルの真上、そこは2階の廊下の床であり、ガラスの床であり、その真上にトップライトがある。1階のダイニングテーブルから見上げると空が見える。

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