らしさを形にする手法

らしさを形にする時、どこにでもあるような、特徴のない形になってしまう可能性があり、だから、同時にその形が特徴にもなることを考えなくてはならない。

これは建築だけのことではなくて、デザイン全般、あるいは、ものづくり全般に、料理にもいえることだと思います。

そのための手法は2つあると考えていて、ひとつは外すズラす、もうひとつは精度を上げる。

外すズラすは、そこにほんの少しの違和感を挿入することです。「らしさ」はそのものではなく、どこにでもあるような特徴のない形はそのものか、そのものを真似た形であり、そこに僅かな、本当に少しの変化や、異物や、異形などを施すことにより、らしいもの、「らしさ」を纏ったものにする。

もっと付け加えますと、その外しズラした部分が見る者の意識に引っ掛かりを与え、見る者の想像力を掻き立てるので、より印象に残りやすい。

もうひとつの精度を上げるは、簡単にいうとクオリティを上げることです。形は同じでも、精度が高いだけで特徴になります。「らしさ」を追求した結果、どこにでもあるような特徴のない形になったとしても、そこから細部にわたって形のつくりの精度を上げていけば、その形の完成度が高くなり、結果的にそれが特徴になります。

ただ、精度を上げるためには、高い意識と高度な技術が必要になり、それだけに誰にでもできることではなくて、だから、特徴になります。

反対に、外すズラすは、高度な技術が無くてもできます。なぜならば、外すズラすは、精度を落とす行為と同じことをするからで、それだけに誰にでもできることですが、今度は外し方、ズラし方が重要になってきて、そこが直接特徴になる訳ですから、外すズラすための高い能力が要求されます。

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どちらの手法でも特徴ある「らしさ」を形にしたものをつくることはできるので、あとはどちらを選択するかですが、できれば、精度高く外しズラした形をつくりたいと考えています。

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