斜めを入れてみると

斜めが気になりながら、どうしてだろうと頭の片隅に残しながら、はじめて能楽を鑑賞してました。

いつもお世話になっている先生が能のシテを演じる機会にお声を掛けていただき、シテとは主役のことだとはじめて知りましたが、このようなキッカケでもなければ能楽を鑑賞することなど無いかもしれないと思い、予備知識もそこそこに宝生能楽堂へ。

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非対称の客席にどこに座ろうかと迷いながら、能舞台正面に対して左斜め45度の後ろの方の席に、そこが客席も含めて全体を見渡せるかと思い、とにかくはじめてなので、舞台上だけでなく、お客の反応も見られるところが良いだろうと思いながら、その後は2回客席を移動して、舞台正面、舞台側面と座ってみました。

演者出入口と能舞台をつなぐ導入路を「橋掛り(はしかがり)」というそうで、能楽堂によりその長さは違っていても能舞台に対しては斜めに取り付いていて、何故か、どうしても建築的に見てしまうのか、それがどうして斜めなのかが気になった。

後で先生にお伺いしたら、遠近感がわかるためだと教えていただき、それが日本的、東洋的で面白く、斜めを入れることにより遠近感を出そうとするのが、西洋絵画に比べて平面的な日本画や水墨画、襖絵、屏風絵、浮世絵などの特徴と同じだと思い、それらは決して西洋絵画のように写実的ではないけれど、絵画を幾何学的に扱い、斜めの線で遠近感を実際より誇張し、写実的な西洋絵画より、より絵画的で、むしろデザインされた図案のような印象を与えてくれる。

さらに能楽はそこに実際の人の動きが加味されるので、隠れた斜めの線もあり、より幾何学な動く図案として立ち現れるような気がして、ただ、それは後から気がついたので、また機会があれば、今度はそこを意識して見てみたいと思います。

それにしても、つい建築と関連づけて考えてしまいますが、もしかしたら「斜め」を入れることを、それは過去の建築を思い返してもたくさんあるのですが、今後はまた違った見方で考えることになるような気がします。

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