ピクチャーウインドウより風が納涼を生む

風景を切り取る窓のことをピクチャーウインドウというが、それは逆に考えれば、外から見たら室内の風景をも切り取る。

壁一枚隔てただけで、外と内という全く違う世界がそこに展開されているが、その壁の性能が低かった頃は、壁の性能とは断熱性や遮音性などであるが、外と内の差はほとんどなくて、外も内も大して違いがなかったのではないかと思う。

それは温熱環境や音環境だけのことではなくても、内にいても雨風を凌げるだけで外と変わらないような状況であり、結果的に外と内の違いが曖昧だった。

ところが、壁の性能が高まると外と内はキッチリと分かれ、全く違う世界が誕生することなった。温熱環境や音環境だけのことを考えた場合でも、それは内だけが静かで、夏涼しく、冬暖かい場となり、外とは全く関連性の無い内が存在し、曖昧さが無い。

この曖昧さが無い様、この外と内のキッチリと分かれた関係性には違和感を覚える。それは中から見ればピクチャーウインドウだが、それは同時に外からも中を切り取る関係性に似て、外と内が一対であるにもかかわらず、外と内が断絶している。

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理想は壁の性能が高く、そのおかげで温熱環境や音環境が良く、それでいて外と内の関係性が曖昧である状況なのだが、壁だけでなく屋根も含めて外皮の性能を高めていくと、普通に考えれば、どうしてもピクチャーウインドウ的な窓ばかりになるが、ちょっと視点を変えて、風も利用してみる、その風のことを卓越風というが、地域特有の風向きを持つもので、それを利用すれば、そもそも外と内が曖昧にならざるを得ない。

外皮の性能を高めて魔法瓶のような住宅をつくっても夏が暑くなり、冷房効率が悪くなるだけだから、風を利用するのが良いだろう。

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